【京主】十四年目の告白 ※未完

ジャンル:東京魔人学園剣風帖 お題:淡い絶望 必須要素:ヨーヨー 制限時間:30分 文字数:746字


「ひーちゃん」
「なんだ?」

 いつもの休日、いつもの部屋、そしていつも隣に並ぶふたり。
 いつもの、とは言ったが、京一はふらっとどこかへ出かけることも多いので、規則正しく生活している龍麻とは違い、いつもの休日に龍麻の部屋で隣に並ぶことが必ずしも「いつも」ではないのだけれど、龍麻はそれを望んでいるので、ここではいつもと書く。

「俺ってスポーツ万能に見えるか?」
 なんだその問は? と思った龍麻だったが、京一の突然の質問は割りと日常化しているので特段驚くことでもない。

「見えない。というか、実際万能じゃないだろ?」
 大体、何年の付き合いだと思っているのだ。大概の遊びはやってきて京一のことはかなりの部分でわかっているつもりだ。
 京一は剣道バカで、《力》を持っていても棒状の得物がなければ《力》を乗せることもできない。俺や壬生のように身一つで戦うこともできず、そういうところが大好きではあるのだけど、球技全般は苦手としていることも知っている。

「いや、そうなんだけどよ、そういうことじゃなくてよ、見えるか、見えないかってことをだなァ……」
「見えるか、見えないか、か……。それも人によるだろ。俺は京一のこと初対面で武芸に通じているのはわかったけど、それ以上はなにも思わなかったし」
「思わなかったって……」
 京一は唇をとがらせる。
「まァ、俺も、初対面のひーちゃんの印象ってそんなにないけどよォ……」
「それはお前が授業中は寝てるからという理由じゃなかったのか?」
「違うって。ひーちゃん初対面の時はすげェ周りを警戒してたじゃねェか。だからそっちの方が気になってよ……」
 そんな話は初めて聞いた。

「へぇ……そうなのか……」
「ッ―――。ひーちゃん、そんな顔すんなって」


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