【京主】物言う花の如くなり

ジャンル:東京魔人学園剣風帖 お題:団地妻の躍動 必須要素:七五調 制限時間:2時間 文字数:888字


 東京の闇知りぬるを
 異国迷路をくぐり抜け
 出会ったふたり宿星と
 ぶつかり合った魂の
 魑魅魍魎と闘いは
 背中合わせの相棒と
 呼びし仲間の存在を
 確かめしめし頼むべき
 神速の剣聖の技
 旋《つむじ》となりて冴え渡り
 いつしか交ざり一になる
 陰陽五行源泉と
 龍脈流れ司る
 陰と陽とを統べるとは
 迷い惑いを徒然と
 手放しかけた運命の
 歯車いつも強引に
 繋ぎ止めたは神速の
 京一お前ただ一人
 京一お前ただ一人

 そんなお前とこの天地
 内藤新宿今昔
 人の群れと人波は
 昔と変わらぬことでしょう
 昔と変わらぬことでしょう

 お前はいつも何気ない
 一言残し旅立つは
 いつものことと笑うのは
 心残りを残さぬよう
 心残りを残さぬよう

 この地そのもの団地のよう
 集まり離れられぬよう
 縫い止め囲う壁のよう
 そんなことなど構いなく
 お前はいつでも出入りし
 太陽のような笑顔で
 俺の心を溶かすのだ
 俺の心を動かすのだ

 お前がいないこの時も
 俺の時間が止まるわけもなく動き続けるのは
 仲間《とも》が気遣いやってくる
 お前がいない穴埋めと
 思っているとは思わずも
 謀とは思わずも
 俺の心に煌々と
 日を差し込めるのはお前だけお前だけお前だけ

 お前の帰り待ち侘びる
 その姿は団地妻
 そんなことを言ったなら
 いつの生まれと言われるか

 仕事をしている最中も
 お前の笑顔思い出し
 微笑んでいる自分がいる
 そんな思い出し笑いは
 昔と変わらぬことでしょう
 昔と変わらぬことでしょう

 お前を知らずにいたならば
 こんな気持ちになりはせぬ
 なりはせぬとは思えども
 こんな気持ちを知らぬまま
 東京の闇知りぬるを
 背中合わせのないままに
 くぐり抜けると思わずに
 宿星恨み心中で
 涙を流したこともあれ
 お前を知らずにいたならば
 恨みのままで過王須なり
 闇に落つると思うなり
 闇に落つると思うなり

 そんな心根知らぬとも
 繋ぎ止めたは神速の
 京一お前ただ一人
 京一お前ただ一人


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