2015/02/08
【京主前提】ドロドロ ※未完
ジャンル:東京魔人学園剣風帖 お題:殺されたドロドロ 制限時間:1時間 文字数:723字
闇夜に紛れるくらいの黒のコートを身に纏い、闇から闇へと魔物を葬り去る。
腕から伝わる肉塊の振動。
自らの手で昇華されたそのものたちは何処へと流れ着くのだろうか。
ドロドロに溶けた《それ》は蒸発するかのように消えてなくなる。
そんな感傷のような気分に浸るのは「アイツ」がいないせいだ。
余計なことを考える。余計なことを考えさせられる。
「翡翠。無事完了したよ。ああ……問題ない」
この退魔の依頼を受けた如月骨董店店主の如月翡翠へと任務遂行の連絡を入れる。
『龍麻はこのあと時間はあるかい? あるのだったら家へ来ないか? ひとりで食べる食事というのも味気ないものだ。京一くんは不在だろう?』
電話先の翡翠は龍麻を自宅へと招こうという。
如月が京一の不在を知っているのは、京一が現在如月の仕事を手伝っているからだ。ワケアリの品を遠方へと運ぶ仕事らしい。
龍麻は一応定職に就いているが、京一はワケアリの仕事を色々と受けながら風来坊のような生活をしており、月の半分くらいはいないこともある。
「……そうだな……。それもいいかもな。わかった」
北区の如月骨董店へ向かうために電車に乗る。
上から下まで真っ黒な衣装で固めている龍麻は一見双龍である壬生紅葉に見えなくもないが、これは龍麻自身が意識してその格好をしているためだ。仕事の時はこの格好と決めているらしく、声まで似ているせいで間違えられることもある。これは目立たず暗闇に紛れ行動するための格好だと龍麻は考えているようだが、顔を隠していないせいで端正な顔をより目立たせるための格好にしかなっておらず、人混みに紛れると目立つことこの上ないことを本人だけは気づいていない。