小説の中の俺

お題:小説の中の俺 制限時間:30分 文字数:503字



 まず一つ言いたいことは、「俺」という一人称についてだ。

 「俺」と書かれて何を思い浮かべる?
 大体において「れ」が付いている人称の時点で、「我」を連想するし、「われ」の「れ」と同じ意味なのであれば、某かの相手を内包するようなニュアンスもあったのかもしれない。

 しかし、現代において「俺」はぞんざいな自称とされ、主に「男性」が使うものとされている。

 そんなわけで、この「小説の中の俺」とは「俺」であり、つまり「男性」の可能性が極めて高いといえる。
 周りを見渡せば、実に小学生から大人まで「俺」という自称を使う人間は多いため年齢までは限定できない。しかし、「」以外の場所で「俺」などと使う人物はリテラシーが低いと判断するので、年齢は特定できないにしても階層はおおよそわかる。

 「小説の中の俺」とは小さなところに留まることもできず、しかしながら自分の位置がわからず、大海を目指すけれども、大海とはどこかわからず、同じ所をグルグルと回り、それで満足と言わんばかりに「俺」と叫んでいる連中なのではないか。

 そしてその「俺」を閉じ込めているのは、紛れもなくこれを書いている人間なのである。


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