七日間の先に ※未完

お題:永遠の情事 必須要素:四国 制限時間:15分 文字数:420字


 人は迷うがゆえに永遠を求める。
 人は迷いを断ち切るために誰かに縋る。
 そして人は何処かにあるという死国を求め彷徨うのである。

「悟りを開く、とか言って本当の目的はうどんだろ?」
 隣で一生懸命に四国のガイドブックを熱心に読んでいる男が宣う。

「違うぞ。決してキング・オブ・讃岐うどんである山越を目指しているわけじゃない」
「どこが違うんだ? きっちりその周辺の地図ページに折り目が付いてるじゃないか」

「それはご褒美だ。四国に来てうどんを食わないとか、なんのために来たかわかんないだろ」
「それ、それがホンネだ」

 ホンネなど言えるはずもない。
 隣に座るこの男との永遠の誓いをしたいなどと、下心のある巡礼など、言えるはずもない。
 ない希望を抱くのが人間というものだ―――と何処かに書いてあったわけでもないが、そう思っている。

 そんなことはおくびにも出さず、ガイドマップを真剣に見ている男の横顔をチラチラと盗み見るのだ。


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