即興小説

Novel

優秀な暴力装置

お題: 優秀な暴力 制限時間: 15分 文字数:594字  暴力というものは一般的にはイケナイものとされている。  しかし暴力というものはそれが「暴力」という言葉で顕わされる以前から暴力であっただろうし、それを「暴力という言葉で顕した」からこそ、不当であるとか不法であるとされたのである。  暴力に... >>続きを読む

昼下がりの選択

お題: 紅茶とお茶 制限時間: 1時間 文字数:1101字    「鬼も十八番茶も出花」  醜い鬼でも年頃の十八になればそれなりに美しくみえ、粗末なお茶でも一番茶であれば香りも高くおいしいということだが、もちろんこれは人間全般を指す言葉であって女性の容姿を言っている諺ではなく、十八の頃に... >>続きを読む

お題: 昨日の大地 制限時間: 15分 文字数:551字   『彼女とかいるの?』―――こういう質問をそれほど親しいわけでもなくだからと言って他人でもない人から浴びせられることは多いだろう。もちろんこれは質問される側が男であった場合で、女の場合は『彼氏とかいるの?』となる。  単なる好奇... >>続きを読む

鏡の迷路

お題: 赤いダンジョン 制限時間: 30分 文字数:1039字 「夢を見た」  分厚いカーテンで朝日が差し込むことはないが、その僅かな隙間から陽光が差し込むベッドルームで目を覚ます。仰向けのまま隣で眠っている男に聞こえるようにつぶやいた。 「そりゃ夢くらい見るだろう?」  隣で眠っていた男はそんな... >>続きを読む

小説の中の俺

お題: 小説の中の俺 制限時間: 30分 文字数:503字  まず一つ言いたいことは、「俺」という一人称についてだ。  「俺」と書かれて何を思い浮かべる?  大体において「れ」が付いている人称の時点で、「我」を連想するし、「われ」の「れ」と同じ意味なのであれば、某かの相手を内包するようなニュアンス... >>続きを読む

「元」村

お題: 今度の村 制限時間: 15分 文字数:558字  所謂平成の大合併で「村」が消滅した。  市町村の廃置分合。自治体の財政力強化、生活圏の広域化。  様々な名目のために「村」がなくなってしまった。  村であることに誇りを持っていたわけでも、村自体に愛着があったわけでもない。  しかしながら、... >>続きを読む

七日間の先に ※未完

お題: 永遠の情事 必須要素: 四国 制限時間: 15分 文字数:420字  人は迷うがゆえに永遠を求める。  人は迷いを断ち切るために誰かに縋る。  そして人は何処かにあるという死国を求め彷徨うのである。 「悟りを開く、とか言って本当の目的はうどんだろ?」  隣で一生懸命に四国のガイドブックを熱... >>続きを読む

指先に込める力

お題: 許せない儀式 必須要素: ポテトチップス 制限時間: 30分 文字数:913字  何事にも儀式ってものはある。  たとえばポテトチップスの袋を開けるのだってやり方ってものがある。  ポテトチップスの袋には「開かないときは縦に割いて開けてください」などと書かれているが、そんなものは最終手段で... >>続きを読む

壊れかけの魔王【意味不明】

お題: 壊れかけの魔王 必須要素: 豊胸手術 制限時間: 30分 文字数:312字  魔王というは、人の心に内在する第六天魔王。  人を操り、人の楽しみを奪い去り、争いを生み、自らをも焼きつくすのである。  何処に住んでいるわけでもなく、何処にでも住んでいるものでもある。  その魔王がとうとう身を... >>続きを読む

犬の性格

お題: 犬の秀才 制限時間: 30分 文字数:531字  犬種によって色々な性質を持った犬がいる。  狩りをする犬、牧畜をする犬、愛玩するための犬。  同じ犬なのに種類により性質が違う。  吠える犬、吠えない犬、従順な犬、懐こい犬。  犬種というのは性格のようなものなのだろうか。  犬は自分のその... >>続きを読む

眼下に広がる岸壁の海

お題: 有名な死刑囚 必須要素: パチンコ玉 制限時間: 4時間 文字数:1142字 「死んだ後ってどうなるんだろうな……」  その男は独りごちた。  どのような人間でも死は約束されている。  いつ履行されるかがわからないから、暗闇の中を歩いているのにもかかわらず麻痺し... >>続きを読む

平和なにおい

お題: 平和とにおい 制限時間: 15分 文字数:641字  匂いというのは慣れてしまうのだそうだ。  臭い臭いでも同じ匂いの中にずっといると臭くなくなる。  匂いに関する受動態が疲労するからだそうだ。  匂いとは化学物質だ。  何か匂うというということは、そこに何かがあるということだ。  他人の... >>続きを読む

声をつなぐ小さな箱

お題: 灰色の電話 必須要素: 5000字以上 制限時間: 30分 文字数:1183字  次の列車待ち。駅のホームでぼーっとしていると、置台にようなものが目についた。 「灰色の電話って見なくなったな……」  ぼそっと呟くと、隣に同じように座っていた耕助が反応する。 「何... >>続きを読む

決まり文句

お題: アブノーマルな絶望 制限時間: 15分 文字数:688字 「このお題、すごいな……」 「どんなお題?」 「『アブノーマルな絶望』だって」 「即興小説トレーニングのお題って、ランダムな言葉の組み合わせか何かで出来ているのか?」 「さあ…&hellip... >>続きを読む

潔白な眠り

お題: 潔白な眠り 必須要素: 文学 制限時間:15分 文字数:592字  そうだな―――。彼の話をしよう。  夜になると眠れない、と嘆く彼の話を。    真っ暗な中、身を横たえていると、漆黒の中に点々と輝く星が目の前に広がり、さらにその中に、引き込まれるような(漆黒なのにもかかわらず)... >>続きを読む